- 2024. 01. 11
島町より愛をこめて「HFW‐FRESCO」編
お正月痩せできる紳士になりたい、島町洋服中村です。
3キロ痩せました。目標体重まで、あと14キロ。
シャープなシルエットで、颯爽とスーツも着こなしたいものです。
颯爽と…爽快な仕立てと言えば、これを置いて、他にアレとソレと…何種類かしかないですね。
(ぱっと考えて5種類くらい、他ブランドの物も思い浮かんでおります。
『これを置いて他にないですね!』って言いきれないところに、当店のラインナップの懐の深さを感じてくだされば幸いです。
でもね、今回は)
FRESCO / フレスコ をご紹介させてください!
先の記事でご紹介していたHFW社からご案内の、超ロングラン生地でございます。
フレスコはイタリアで「涼しげ、爽やか」「新鮮」ってな意味でございまして、名前からでも快適な着心地を想像できます。
税込のスタートプライスは、スーツで136,400円、ジャケットで102,300円、スラックスで47,740円。
なかなかの名門プライスですが、ご納得いただけるだけのポテンシャルを持つ生地でございます。
1つのバンチブック(生地のサンプル帳)の中に5種類のクオリティが収録されています。
ひとくちにフレスコと言っても、その特長は様々。
相も変わらず長丁場にはなりますが、どうぞお付き合いくださいませ。
・Fresco Lite / フレスコ ライト
フレスコに不可欠のアドバンテージ「しわを防ぐ」「通気性」「肌離れの良いドライタッチ」はそのままに、より軽く、より滑らかに進化しています。
春夏のビジネスウェアの最適解の一つとして、スーツは勿論、ジャケットやトラウザーズにもおすすめです。
柔らかく身体に沿うしなやかさと、立体的な仕立て上がりのバランスに優れたクオリティです。
…ちなみに「しわを防ぐ」についてですが、結論、しわは入ります。
ただし、鋭利に細かく入らないため、清潔感を保ちながら味のある風合いを表現できるってわけです。
‐以下オタク用‐(つまり無駄知識ってことです。)
<100% WOOL 9oz-280g>
フレスコシリーズの特徴として「ハイツイスト:強撚糸」がキーワードになるが、ライトシリーズはその手前の「アップツイスト」を採用。
糸は、S撚りの40番手双糸。番手のわりに滑らかで、さらりとしたタッチなのは上記のアップツイストの絶妙な撚り加減によるものか。
豊富なカラーバリエーションがある(ものの、なんともフォースの英国面に支配された偏りのあるセレクトで、若干使いづらい色が多いかも。そこが、お茶目で素敵。)。
アイビー好きとしては見逃せない「ナンタケットレッド」が#510228として収録されている。
素晴らしい。スリザリンに100点。
・Fresco Mohair / フレスコ モヘア
アンゴラ山羊の毛:モヘアをブレンドすることで、ハリとコシ、光沢感がブーストされます。
シャリっとした肌触りと、高温高湿においてもへたらない形態安定性は夏に最適。
織り目それぞれが小さくキラリと光る様は雪原のそれを思わせ、見た目も涼し気です。
関西方言にはなりますが、「パリッとした」スーツをお求めの方におすすめでございます。
御多分に洩れず、フレスコのアドバンテージを搭載しておりますので
軽さ、しなやかよりも、光沢感に由来する華やかさ、40年代から変わらないヴィンテージなスタイルを重視される方はこちらをお求めください。
‐以下オタク用‐
<70% WOOL,30% MOHAIR 10oz-310g>
こちらも縦横双糸のパナマウィーブ。ショーン・コネリーのコンジットカットスーツにあこがれた諸兄においては、ウールとモヘアの混率が55:45の3PLYトニックタイプの生地を選択するべきだが、ダニエル・クレイグ派にはこちらがおすすめ。
トップダイ(糸染め)の2色の糸で織られる3マークは、特にミッドセンチュリーの雰囲気を色濃く感じさせる。
・Mock Leno / モックレノ
春夏向けジャケット生地の最高峰。シリーズ中最高の「防しわ性能」「通気性」を誇ります。
凹凸に富んだ生地表面は”さらり”を通り越して、もはや”ざらり”としたタッチ。
同様の特徴をもつ生地のほとんどが、光沢感を失ってしまいますが
太さを保ちながらもしっかりと強く撚られた糸は、おしとやかに光を反射します。
エレガンスとタフネスを兼ね備えた、ハイエンドなジャケットに仕立てられます。
‐以下オタク用‐
<100% WOOL 9/10ozs 280/310g>
Leno (絡み織り) を Mock (模倣) したのでモックレノ。糸や素材の名前ではなく、織り方の名称。
トラベルジャケッティング生地として様々なブランドから同じクオリティが発信されていることからも傑出度の高さがうかがえる。
よく比較されるのが、SMITH WOOLLENSのFINMERSCO。そちらは 12/13oz-350gm なので、より軽量で柔らかい仕上がりを求めるならHFWがおすすめ。
・Fresco / フレスコ
「しわを防ぐ」「通気性」「肌離れの良いドライタッチ」が特長のオリジナルフレスコ。
”風が吹くたび、良くなる服”というのが、初代のキャッチコピー。
発売から100年以上を経てなお、人気の衰えない超ロングラン生地です。
光沢を抑えた、凹凸のある質感で仕立てたアイテムはオールシーズンの活躍が期待できます。
ライトに比べて、表情と質感がいっそう豊かですので、単品使いにもよりおすすめでございます。
一着目のオーダースーツから、クラシック好きを唸らせるこだわりの仕立てまで、幅広く対応可能なクオリティです。
マシンメイドの仕立てにおいても、経年変化が楽しめる「育てる楽しみ」のあるお洋服が仕上がります。
‐以下オタク用‐
<100% WOOL 9/10ozs 280/310g>
独特のドライタッチは、ZZの糸をZ撚りにした2PLYハイツイストに起因する。
1907年にパテントを取得したMartin Sons & Co.の代表作。
「北北西に進路を取れ」のケーリー・グラント、「ゴールドフィンガー」のショーン・コネリー、マイケル・ケインがグレーのオリジナルフレスコを着用している。007的スリーピースをご検討の際は是非。
アクティブでかっこよいのだ。
・Fresco 3-Ply/ フレスコ スリープライ
オリジナルフレスコをワイルド&タフに進化させたクオリティ。
既出のフレスコの3つのアドバンテージを、さらに色濃くしたイメージです。
「兎にも角にも ”丈夫” で ”しわにならない” スーツを1着持っておきたい」
「悪目立ちしない、シックなカラーリングと “ほかの誰ともかぶらないお洒落” を両立したい」
そんなあなたにおすすめの一着でございます。
‐以下オタク用‐
<100% WOOL 14/15ozs 435/470g>
Z撚りの3PLYハイツイスト。
前回のコレクションでは7色の展開があったが、現在は4色。着々と希少価値が高まっている。
無骨さすら感じるドライなテクスチャと生地の厚み・重量が、古き良き時代を想起させる。
オーバースペック気味な「防しわ性能」「耐摩擦性能」自体も魅力ともいえるが、そんな時代遅れな機能を搭載した旧世代の遺産を仕立てられる…歴史を纏う一着を所有することもマニアックな喜びではないだろうか。
服自体も堅牢であるため、一生モノの仕立てとしてオーナーの歴史をも内包する服となるであろう。
…お疲れ様でございます。完走された方、ぜひご感想をお聞かせください。
この熱量と文字数で皆様にお伝えしたいほど、素敵なお洋服が仕上がる生地なのです。ほんと。
是非、お店で生地のサンプルや、フレスコで仕立てたお洋服を着て見て触っていただければと存じます。ほんと。
かしこ