- 2025. 03. 07
島町より愛をこめて「SMITH WOOLLENS‐ABACUS」ごめんね、やっと本編

はい!ちゃっちゃか参りましょう!
前回、そのネーミングの妙を解明すべくゴタゴタ御託を並べたおした、
SMITH WOOLLENS / スミスウールンズ の ABACUS / アバカスについて。

ウール100%の平織り(トロピカルウィーブ)で300~320g/mのウェイトでございます。
数値上では、HARRISONS / ハリソンズ、 FRONTIER / フロンティアに似たクオリティであるといえます。
しかし、テクスチャや着用感にまで踏み込めばその違いは明らか。
シティユースのドレスファブリックとして汎用性が高い…言い換えますと「スーツ」「ブレザー」を仕立てるための羅紗として”優等生”なのは、FRONTIER君。
対するABACUS君は、ラギッド&タフな”野生児”…まで言うと言い過ぎかもしれませんが、スーツやジャケットを仕立てるにも、お行儀の良さだけでなく、趣味性や洒脱さを求める事が出来るクオリティでといえるでしょう。
先ずはテクスチャ。その”肌触り”に特長がございます。
“仕上げ工程では”スミスウールンズ”独自の「サハラフィニッシュ」が採用されました。”
と公式にも解説が添えられています。
凹凸に富む、ざらりとした質感。業界紙などで”ドライ”と謳われる特長です。
接触面積が少ないため、身体に張り付くことがなく、さらりと着こなせるってわけでございます。
この快適性こそが、サハラフィニッシュの賜物なのでしょう。
光沢を尊ぶスーツ地において、異色ともいえるマットな質感。
野趣すら感じる、ABACUS独自の洒脱さにもご注目いただければ幸いです。

お次は着心地について。
ひと言で申し上げますと「シャリっと固め」な着用感でございます。
前述のドライタッチと相まって、かなりタフな印象を受けました。
ジーンズではないけれど、着馴染ませることでカドがとれる、
エイジングを愉しめるような仕立てをご案内できるハリ・コシを湛える生地です。
ハリ・コシ基準にしっかり度合いを比較すると…
FRESCO ≧ ABACUS > FRONTIER といった具合です。
FRESCOほどワイルド過ぎず、FRONTIERよりはラフに着こなせる。
そんなニュアンスを感じました。
とはいえ、こういったニュアンスは触っていただかないことには何ともお伝えし難いところ。
いつも申し上げております通り、見て触れていただく分にはお金はかかりませんので、是非お店に遊びに来ていただければ幸いです。

そのラインナップからも、ABACUSの指向性をうかがい知ることができます。
見本帳の顔ともいえる最序盤には、ブラウン、グリーンが登場。
プリンスオブウェールズとウィンドウペーンの英国的チェックが効いています。
なんとも”カントリージェンツ”な香りのする立ち上がりです。
ジャケットやカジュアルアイテムのお仕立てにはピッタリなデザイン。
しかしながら流石のSMITH WOOLLENS、全体のトーンやコントラストをダークに落ち着かせています。
最後まで一貫して”シック”な色柄をご提案していますので、
「シティでもお召しいただける、野趣のあるスーツ」という、一筋縄ではいかない洒落着のお仕立てにおすすめでございます。
ちなみに、大体のお値段もご案内差し上げますと…
SUITS:¥140,800 ~ / クラシコ仕立て ¥159,500 ~
JACKET:¥99,000 ~ / クラシコ仕立て ¥119,900 ~
TROUSER:¥49,500 ~
TAILORED CASUAL:110,000 ~
といったところ。
ちょっぴり(?)良いお値段なシリーズです。
それでも、島町洋服おすすめ!なのには訳がございます。(ので、ブログを書いております!)
決して損はさせないクオリティ&デザインでございますよ。

続いてご覧いただけるのはグレナカートチェック(プリンスオブウェールズ)。
先程のトラウザーズは、このネイビーブルーで仕立てたものでございます。
杢の効いた、スモーキーなニュアンス。
スーツの定番色たるネイビー、チャコールにも、ひと味違う”深み”を感じます。
引き続き、ブラウン、グリーンも収録されており、野趣が醸し出されております。

シンプルさと奥深さが並び立つ、ピンヘッドシリーズ。
プレーンなデザインゆえ、織りの特長である「ドライでタフなクオリティ」を強調した仕立てが可能です。
そこはかとなくヴィンテージなニュアンスもございます。
いぶし銀なスーツ、BEDALEタイプのジャケットを作ってみたいシリーズです。

ストライプもばっちり収録されております……が、まさかのラインナップ。
ブラウンとグレー、全てカラードストライプでのご案内です。
なかなかに”攻めた”シリーズでございます。やるじゃんABACUS。
ベースカラーには、全編に共通するスモーキーなニュアンスがたっぷりです。
ウォール街やロンドンのシティを闊歩するストライプとは一線を画す、
より”自由”で”洒脱”なストライプたち。
威厳たっぷりなスリーピース、重厚な英国仕立て…厳つくなりがちなアイテムも、さらりと着流すことができる。
トラウザーズや短丈のアウターにもマッチする。
洒落者の皆様におすすめのストライプでございます。

マイクロチェックの2色が続いて参ります。
デニムライクなブルー、ミリタリーアイテムを思わせるオリーブ。
前述のピンヘッドと同じく、派手さを排した無地ライクなデザインです。
2ピースのスーツを、上下ばらしてお召しいただくスタイルなんかも素敵ですね。
渋さも、爽やかさも感じる、ビジネスドレスに相応しい「ちょうど良いカジュアルさ」が特長でございます。

そして、ABACUSの最重要パターンが登場します。(独断と偏見ですけど!)
どこまでもイングリッシュな、”グレナカートにオーバーペーン”のパターン。
しかし、シティユースのスーツに定番の配色は皆無でございます。
カントリースポーツファブリックのマスターピース、グリーン×レッド。
マリン&リゾート、潮風を感じる、ブルーonブルー。
カントリーとシティを行き来する、ベージュ×ネイビー。
3点ともに、非常にコンセプチュアルな配色でございます。
特にグリーン×レッドに込められた”玄人のための目配せ”には脱帽です。
このコレクションに限らず、ブランドやミルを超えて収録されているこのパターン。
共通しているのは「カントリースポーツ」というジャンルでございます。
ABACUSに一貫してみられる、タフさ、渋さ、野趣の根源には、このジャンルを背負う矜持があったのです。
シティだけでも、カントリーだけでも、英国紳士の文化的な生活は成り立ちません。
どちらの世界の理からも逸脱することなく、シークエンスの一員となり得る装いが必要です。
二つの世界をシームレスに往復するABACUSには、伝統を重んじつつ、しかし一辺倒ではない、ある種のリベラリズムすら感じます。

ゆえに、プレーンシリーズはブラウンの3色から始まります。
カントリーカラーの筆頭に、ここまでのバリエーションを持たせるのも、前章の矜持の表れかと。
ヒースローからロンドンへ向かう車窓から見た、草原の金色を思い出すゴールドベージュ。
上品さとクラシックさに、ノスタルジーと親しみを内包するチョコレートカラー。
グレーのニュアンスを湛えたミドルブラウンは、ドレスカラーの品格を湛えています。
トレンドから定番になりつつあるブラウンを、スタイルやアイテム毎に、コントラストをつけてお召しいただけます。


ビジネススーツの定番色にも、スモーキーな渋さが表れています。
グレー、ブルーともに細かく色をきざむのはLBD-HARRISONSグループのスーツファブリックの特徴です。
共に背広のメインカラー。サヴィルロウの各店から細かな色の注文がございます。
老舗の名店に鍛えられた、SMITH WOOLLENSやH.LESSERの名門2社を傘下に置く、同社の誉れを感じる手厚いラインナップです。
織りに宿るABACUSの野趣を、”真面目な顔して”お召しいただけるシリーズ。
あえてのカジュアル使いも、想像に難くございません。
一見してお上品なのに、どこかワイルドな雰囲気…そんなアイテムをお仕立ていただけるかと。
っというわけで!
最後までお付き合い賜りました皆様、誠にありがとうございます。
例の如く、全開の熱量と文字数でございましたが、何せそれだけおすすめなのです。
しかも困ったことに、その魅力の大半が触ってみないと分からないという…
ご興味を持っていただけたお客様!そう、貴方です!
見本帳だけでなく、仕入れた生地や仕立てたトラウザーズなんかもお店にございます。
是非お気軽に、ABACUSの魅力に触れてみていただければ幸いです。
かしこ